はじめに
私は、薄給だけど福利厚生だけは充実している会社で働いているのですが、そちらでは2冊の書籍を20日間レンタルできるサービスがあります。給料を取り返すぞ、と息巻いて私はこのサービスをフル活用しています。
人気の本は、大抵予約が数件入っており、実際手に入るのは予約してから1ヶ月強ほど後。私は「人気の本を1冊予約、待つ間に誰も予約していない本をレンタル」というスタイルをとっています。
そこで期待せずレンタルした、「誰も予約していない本」が『アイデアの力』。これが非常に面白かった。2020年に読んだ本の中でトップクラス。というかトップ。
自分の定着のために、アウトプットしたいと思います。
前提
- 知の呪縛:いったん何かを知る→知らない状態を想像できなくなる→自分の知識を他人と共有することが難しくなる
- アイデアを記憶に焼き付けるのは聞き手なので、聞き手の解釈が自分のメッセージの核を保っているか自問する
- 核となるメッセージを頭に刻んでおけば、様々なアイデアにその視点を持ち込める
- 判断の停止 = 選択肢が多い、状況が曖昧なために起きる不安と不合理
- メッセージを相手に伝えるプロセスは「答えの段階」と「他者に伝える段階」
- 伝えるためには、アイデアに対して相手を
- 「関心を払う」
- 「理解・記憶する」
- 「同意する・信じる」
- 「心にかける」
- 「そのアイデアに基づいて行動できる」
という状態にすることが必要。
そのためには、
- 意外性がある
- 具体的である
- 信頼性がある
- 感情に訴える
- 物語性がある
ことが必要であり、それら全てに通底するのが単純明快であること。
単純明快である
- 具体的過ぎる指示は、相手が予想外の行動をしたとき無駄になる。「意図・目的」「望ましい結果」を伝えれば対応してくれる。
- アイデアの核となる部分を1つだけ伝える
- 大切なのは平易化ではなく的確さと優先順位の伝わるメッセージ
- 記事は逆ピラミッド。リード文に最重要内容、そこから優先度の高い内容から順に構成
- 3つ言うことは何も言わないことと等しい
- 人は不確実なことがあるとそれがなんの関係のないものでも判断停止を引き起こす
- 元々あるイメージを使う、類推により相手が既知の概念を呼び起こし簡潔なメッセージの理解を可能にする
- 役立つ情報だけを与え、追加情報は小出しに
意外性がある
- 関心を掴む+関心をつなぎとめる
- 怒りは戦い+自分の判断への確信を深めさせる
- 驚きは注意を喚起し、普段より高まった注意力と思考力が意外な出来事を記憶に焼き付ける
- 驚くと答えを見出そうとする。「なぜ自分は驚いた?」を解消
- 驚きは「後から考えれば理解できる」ものにしないと苛立ちでしかない
- 自分が伝えるべき中心メッセージを見極める→そのメッセージの意外な点を探し出す(核となるメッセージが言外に示す意外なことや当たり前のようなのに実現しない理由など)→どきりとさせる意外なメッセージの伝え方で聴き手の推測機械を破壊 + 修理を促す
- 好奇心 = 疑問を解消して曖昧な状況をはっきりさせようとする知的欲求、あえて疑問を提示して状況を曖昧にすることで最後まで関心が続く
- 知識に隙間を感じると好奇心が湧く→隙間をつくる必要がある、欠けている知識に光を当てる
- 「どんな情報を伝えるべきか」から、「どんな疑問を抱かせたいか」に切り替える
- 知識がある程度あるからこそ隙間に興味が向く(ex.50個のうち47個を知っていたら残りの3個が気になる)
- あえて話を一歩ずつは進めず、いきなり今後の展望を劇的に見せる(+どんなふうに展開するか+なぜそうなるか)
具体的である
- 具体的とは「特定の人々」の「特定の行動」であることが多い
- 具体的 = 既存の知識や認識を土台に、より高度で抽象的な洞察を得られる
- 誰もが流暢に話せる「普遍的な言語」を見出せば、その言語は自ずと具体的になり、協調を促す(同じ課題に取り組んでいる、という安心感にもつながる)
信頼性がある
- 信憑性の三大要因は家族・個人的体験・信仰
- 信頼性に寄与する権威 = 専門家 or 有名人
- 「反権威者」だろうと、誠実で信用できるからという理由で権威者として認められる。現代の市民はあふれるメッセージにさらされ発信源を疑う癖があるため(誰が得する?)
- メッセージ自体がメッセージ内容を保証する「内在的信頼性」が必要
- 細部がメッセージに具体性と実感を与え、メッセージの現実味が増す
- 統計を利用する(数字自体に頼らず関係性を例示する)
- 事例を用いる
- 検証可能にすることで真偽を顧客に直接確かめさせる
感情に訴える
- 既に心にかけているものとかけていないものとの間に関連性を持たせる
- 同じものを利用したら「軍拡競争」なので、別の場所で勝負 or 独自の関連付け
- 相手の自己利益に、単刀直入に訴える(説明した特徴とそれがほのめかすメリットを聞き手が結びつけるのに数秒かかるだけで、そのあとの話題が残らなくなる)
- 利益をうける本人を主語にする
- 人は即物的で身体的な欲求ばかりに目を向けるわけではない。アイデンティティのために動くことがほとんど
- 自己利益はその人が関心をもつ方向性を定めるが、意見に影響を与えるとは限らない
- 意思決定のモデルは「選択肢を見比べてそれぞれの価値を判断、最大価値のものを選ぶ」「自分は何者か、どういう状況にいるか、自分のような人々はこういう状況でどうするか自問する」
- 「なぜ?」と3回問うことで、アイデアの根底にある核を思い出せる
物語性がある
- 物語の聞き手は受け身ではなく、参与する
- 出来事や経緯を思い描くと、実際に活動していた時と同じ脳の部位が呼び覚まされる
- 適切な物語とはシミュレーション。脳内でシミュレーションすることが大事。未来にも適切に対応できるし、感情の整理にも役立つ
- 戯曲の筋書きは「単純な悲劇」「単純な幸運」「複雑な悲劇」「複雑な幸運」、人を励ます物語の筋書きは「挑戦(圧倒的な障害に直面する)」「絆(人種・階級・民族・宗教・人口統計の違いを越える)」「創造性」
- 要点を示してぶつけるだけでは、相手はこちらの言い分を値踏みし検証や反論、批判をしてくる
- 今の問題が今後どう変わっていくかを示す物語は、懐疑的な意見の払拭し、やってみようという気を起こす。目標や障害がわかりやすい物語に、聞き手は「問題を解決しよう」という姿勢になる
- シミュレーション・励ましの効果を持つ「すぐれた物語」に気づくことが大事