- はじめに
- 自分を自分らしく外に向かって発現する+自分の書いたもので相手を揺り動かす
- 文章の7要件
- 文章の基本構成
- 文章を書くステップ
- 依頼文に必要なこと
- 議事録に必要なこと
- メールを書くポイント
- お詫びのテンプレート
- 志望理由書の書き方
- 指示を出すときに必要なこと
- 引きの伝達術
- 読む気を引き出す書き方
- 思考停止ポイントの発見
- 誤解を防ぐ
- 構造の存在を意識
はじめに
こう見えてwebライターの端くれとして働いているので、山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる!文章を書く』をしっかりと読み、内容を整理しました。
自分の定着を目的とした要約のアウトプットですが、1冊丸々読むよりは楽だと思うので、文章をよく書く方は参考にしてみてください。
案外無意識でやっていることも多いと思います、これ。
自分を自分らしく外に向かって発現する+自分の書いたもので相手を揺り動かす
目指すゴールを確認する
- 日常・仕事で書く文章は、読み手や目指す結果がはっきりしている
- 文章の「ゴール」=その文章は「誰に読まれ」「どうなることを目指すのか」に着目する
- ゴールを明確にして逆算、必要なことを必要なレベルまで行う
- 「何と何を考えれば良いのか」、それらを「どう考えれば良いのか」を踏まえる
書く=読み手を共鳴させる
読み手に共感・納得・発見などの心の動きが生まれる
文章の7要件
1. 意見:自分が最も言いたいこと
文中に、自分で考えた「問い」に対して自分が出した「答え(=見解・意思)」を明確に打ち出す
- 「『問い』をたて、『答え』を出す」を繰り返し、考えを前に進める
- 「答え」は案外ある、むしろ発見すべきは「問い」
- ときには人に相談・ディスカッションで相手からの「問い」がもらえたりする
- 「問い」を立てるエリアを広げる
- 過去・現在・未来へと流れる時間軸、自分・身の回り・社会と広がる空間軸に視野を広げる
意見が出ないときこんなことに陥っていないか
- 知識や情報を並べただけで自分の見解がない
- 言いたいことがたくさんありすぎて絞れない
- 「意見」が一般的・空々しい・自分が本当に言いたいことではない、嘘をついている
- 言いたいことが自分でもはっきりしていない
- 問題が大きいと考えることが嫌になるので、まずは小さな「問い」を洗い出し整理し、自問自答を繰り返すと考えが明確になる
- 問題に対する基礎的な知識・情報が不足している
- 決断によって生じるリスクを引き受けられない
※「何が問題か」「原因は何か」「障害となっているのは何か」「誰が鍵を握っているか」「どうしたらできるか」「似た事例はないか」など汎用性の高い「問い」をストック
2. 望む結果:「誰が」「どうなること」を目指すか
- 文章が機能した結果紡ぎ出したい状況を具体的に描きセルフチェック
- 自分は何を書いている・書こうとしているのか確認
- 「だから何? それは読み手にどんな意味がある?」
- 「読み手にどうなってもらいたい? そのためにどう書けばいい」
- 自分の書くもので人に歓びを与えられるか
※詰まったら「読み手にどう言ってもらいたいか」をイメージすると具体的になる
3. 論点:自分の問題意識はどこに向かっているか、どのような問題をどのような角度で扱っているか
- 自分に切実な動機がある問いか、読み手の要求にかなっているか、自分の力量で扱い切れるか、社会的に論じる価値があるか
- テーマ関連の情報を仕入れて得た刺激で自分の問題関心がどこにあるか掘り起こす
- 読んだ記事などに感じた共感・反発・発見・疑問を書き出す
自身と読み手、双方の問題関心からずれていない論点にするべく、両者の問題関心を把握
- 自分の関心ごとをいかに相手に興味ある切り口で書けるか
- 相手の関心ごとをいかに自分の興味ある問いに発展させるか
- 読み手と自分の問題意識を発展・根源的問いに戻すなどして双方の興味があるものに
読み手は何を求めているか、読み手を洗う
- 自分に求められていることを受け取る
- このときだけは論点を探そうとか自分の考えを出そうとせず(自分の意図があるとそこにこじつけようとして相手の心を動かせない)対象理解に集中
- 相手の主張を読む・聞く・理解する(相手の主張が最も強く出ているところ、相手の根拠・問題意識・繰り返し使っている言葉をチェック)
- Ex.)今までの流れを否定する「しかし」の後、内容をまとめた「つまり」の後
「問い」を意識しつつ文章を書く習慣
- 文章全体だけでなく、段落ごとにも小さな問いがある
- 話題を変える時・ズレを感じる時には「自分は何を書こうとしているか」ではなく「どういう問いに基づいて書こうとしているか」を考える
- 提起した「問い」はいい価値を生むか確認
- 最終的に書き上げた文章の論点が一貫しているか
- 論点と意見が呼応しているか=自分が採用した「問い」への結論があるか確認
(アウトラインを立てる時や書き出しでは)疑問文で書くクセをつける
- ×「人間関係について」 ◯「人間関係はどうすればうまくいくか」
- 「なぜ?「どうやって?」「どうあれば?」など原因・手段・理想像などテーマを見る角度を変えて切り込む
4. 読み手:読み手はどんな人か
望む結果を得るために、誰に書けば良いか最も適切な相手に向けて、フィットした内容(もしくは読み手の個人差を超えた普遍的内容)を書く
その読み手はどんな人(どんな興味・問題関心・背景・現状)か知る
書くことに臆病にならない
書いたことがいいことで乱反射し、関係性の中でどう作用するか外側から見る目も養われる
5. 自分の立場:相手から見た時の自分はどんな見え方・立場か
結果を出す文章を書くなら、こっちの「つもり」ではなく相手から見た時の距離・関係性を基準にする
相手への理解を深め、相手と自分の関係性を発見
- 相手がどう思っているか客観的に確認、相手と自分を知っている人に意見を聞くことも有効
- 相手はどんな人か、相手に分かるか、相手が興味を持てるか、相手はこれを読んで気持ちになってどんなメリット・意味があるか、相手はどんな状況か
私・社会がどう思うか、私と社会はどう関わるかを意識
- 自分の持つ感覚を、様々な違った感覚を持っている人間社会にどう位置付けて活かすか研究する
- 自分の都合とは関係なく社会を見る
信頼されているなら文章は有効に働く、逆もまた然り
- 結果のために、自分というメディアの信頼性・影響力を上げる必要あり
- 初対面・信頼関係のない相手なら、冒頭で相手との関係性を良くする内容+自分というメディアの信頼性を示す自己紹介を加える
6. 論拠:相手が納得する根拠があるか
- 自分側の理由を洗い出す、相手にとってのメリットをあげる
- 自分の主張の正当性の根拠を筋道立てて述べる
相手の納得できるものにするべく、反対理由は正確に押さえる
- 反対理由を洗い出し優先順位付けをしてもらう、後から別の理由を持ち出させない
- その理由に焦点を合わせ、説得材料を収集
「正論」では意味がないことも
- 単なる「批判」に終わっていないか文章をチェック
- 一番必要なのは、具体的な解決策を打ち出すこと
- 専門家が集まっても解決不可能な問題ならば、解決につながる有効な問題提起を
問題を多角的に見て全体像を把握
- 自分の体験・見聞を洗い出す
- 必要な基礎知識を調べる
- 具体的事例を見る
- 別の立場から見る
- 海外と比較する
- 歴史・背景を押さえる
- スペシャリストの視点を知る
相手に想いが届かないとき
- 目標の設定が不明確ではないか、書くこと自体が目標になっていないか、最終的にはどういう状況にしたいか具体的なビジョンが描けているか
- 手段の選択が安易ではないか、望む結果を出すためにベストな方法か、その方法で読んで欲しい人に読んで欲しい形で考えを届けられるか
- 発信が機能しているか定期的に確認
- 結果に結びついていなければ方法に問題があるか、力不足か反省して改良
7. 根本思想:自分の根本にある想い(価値観・生き方)は何か
自分の腑に落ちるまで生き方に合った言葉を探し、発見し、自分を偽らない文章を書くことで読み手の心は動く
文章の根底にある想いは直接言葉にしなくとも伝わる
書くものを変えるためには根本思想にメスを入れる
煮詰まったときは文章を要約「今自分がやっていることを一言で表すと?」
- 膨大な文章も全て書き手の根本にある想いから湧き出た
- 自他の根本思想が見えてくる
- いらないものを捨てることになるので大事なものの順番がわかる
文章の基本構成
論点:何について書くか、自分が取り上げた問題
論拠:意見の理由
- 優先順位は低いもの→高いものへ
- 具体的な論拠→抽象度の高いものへ
- 問題の背景→現在→将来
- ミクロからマクロ(個人の実感→社会問題→社会構造)
- 賛成、反対の代表的意見の提示→両者の共通・相違点→そこからいえる問題点
意見:自分が最も言いたいこと、論点に対する結論
※成功体験を生んだ論理構造を形にして残しておくことで、混乱したときの道標に
文章を書くステップ
- いい意見のために微調整を重ねながら論点(「問い」)を決める
- 論拠の用意
- アウトラインを作る(論点→論拠→意見)
- 自分の立てた論に自分で反論する
- 対立する相手の論拠を押さえる
結果のイメージ「何を書くのか」
- 相手を否定するのは簡単だが、新たな考えを作る負担を相手に強いる
- 否定を提案に変えることで効果が期待できる、自分の理想を形にできる
意見をはっきりさせる(論点で立てた問いへ自分の答えを出す)
細かい問いをいくつも立て、考えがはっきりするまで自問自答
「問い」のために時間軸を遡る
問題はいつ頃から始まったか、今起こっている問題と同じようなことが過去になかったか背景と歴史を辿る
現代の社会に目を広げる
社会での出来事や他のところでの具体的事例に、今起きている問題と関連することがないか調べる(社内外への取材、新聞記事のキーワード検索、インターネット検索など)
問題を整理する
- 問題の全体像を整理、背景・先進事例・学問的見識など客観的な足場を作る
- 一人一人育ってきた環境や体験・思想・世界観は異なるからこそ自分の考え・意見を表明
自分の信頼性を高め「この人物の言うことは信頼できる・役立つ」と思わせる
- 人は自分を理解・評価してくれる人に信頼を寄せ、その相手には素直に耳を傾ける
- 相手がどんなことをやってきたか、どういうことを大事にしてきたか調べ、共感できることがあればそれを文章の頭に持ってくる
- Ex.)「あなたの仕事に、私はこう共感しました」「あなたのこんな姿勢を尊敬しています」
依頼文に必要なこと
面白いと感じてもらう
志に共感してもらう
目指すこと・誰にどんな価値を提供したいか説明し、相手に「意義があるあら協力したい」と思ってもらう
相手がやる必然性の明示
- 相手の能力・資質・実績から相手がやる意味や必然性を感じてもらう
- 「自分がやりたいことだし、自分にしかできない」と思わせる
議事録に必要なこと
議題を「問い」の形にして頭に大きくはっきり書く
最終的に「今日の会議は何について話されていたのか」、中心の論点を明文化
「今後の課題」を疑問文で書く(ときには議長に聞きにいく)
目指す方向をメンバー全員で共有でき、情報が集まりやすく準備も用意
「問い」に対してどんな「答え」を出したか(=決定事項)
- 「問い」と「答え」の間に、どんな手順・方法で検討したか、何を大事にしたか
- 優先順位をつけて記録
「今どこにいるか」を把握するために、前回までの流れと次回の展開(予定)も記録
- 入口と出口を明らかにすれば、議論が混沌としても回収可能
- 会議の位置付けを書く
- Ex.)「決定のための会議」「ブレスト」など
メールを書くポイント
カジュアル≠わかりにくい
頻繁・大量なやりとりのなかで緊張が緩み、わかりづらい文章になりがち
「相手にとっての意味」をメールの冒頭に
- 意見の前、もしくは意見と合体
- Ex.)「予算をあげていただきたく、お願いのメールをさしあげました」
受動態は使わない
主語を人間にすることを習慣にすることで行動主体が自分になり、責任感が育つ
お詫びのテンプレート
謝る
一人称は「私」(私ども、弊社ではない)
相手側から見る
- 相手の目・都合・順番で、この一件を見るとどうなるか?
- 相手はどんな迷惑を受けどんな気持ちになったか、想像力を働かせて具体的に書く
罪を積極的に認める
ダメージを与えたのは紛れもなく自分だと認める
原因を究明する
- なぜこのようなことが起きたのか原因を多角的に分析
- 「自分自身のどんな怠慢・力不足から生じたか?」の観点で語れるものだけ残す
将来に向けた修正を示す
- 二度とこういうことを起こさないために何をどう変えるか?
- 精神論ではなく、いつ・誰が・何をどう変えるか具体的に書く
- 再発防止に効果があるか、実行に責任が持てるかセルフチェック
どう償うか示す
- 相手のこうむった不利益をどうリカバーするか書く
- 短期間ですぐ代償できるものにとどまらず、広く長い目で見る
- 相手との関係をよりよくしようという観点から発想し、自分に本当にできることを書く
志望理由書の書き方
- 相手と自分を連結する「キー」を見つける(その仕事が扱う「分野」×「業種」・「職種」)
- たくさんある仕事からなぜ自分は〇〇を選んだか
- 〇〇はどんな仕事か
- 〇〇で仕事をしていくには、どんな能力や資質が必要か
- 〇〇に直接・間接的に関係して、今の日本や世界ではどんな問題が起きているか、原因は何で、解決するにはどうすればいいか
- 〇〇という視点で社会を見たとき、5,10年後に実現したい理想の社会は?
- 自分は〇〇でどんなことをしたいか、その動機は?
- 自分の過去・現在を振り返り、〇〇に携わるのにふさわしい、どんな長所をもっているか? またどんな努力をしているか
- 自分が採用されることで相手や社会にどんな貢献ができるか
- 他ならぬ先方を選んだのはなぜか
指示を出すときに必要なこと
- 誰もが「なぜ私に?」と思うので、意味・流れ・関係で伝える
- つながりに着目することで「意味」が出てくる
- 相手の歴史:相手がどんな仕事をしてきて、現在どのような個性をもち、将来どうなっていきたいのか
- グループ・社会の歴史:グループ(・社会)はどんな背景を持ち、現在どんな問題・可能性を持ち、どこを目指すのか
- 社会とグループ:グループの取り組みと社会はどう関わるか
- グループと相手:相手がこれからやる仕事はグループにどう影響するか
- 相手と社会:ゆえに相手がこれからやる仕事は社会とどう関わるか
引きの伝達術
自分がわかっている・当たり前だと思っていることについて「わからない人がいる」と想像することは難しい
自分が当たり前と思っていることをわからないのでは?と想像
初歩的なところで話に入って来られない人がいることを事前に想定(入り込みすぎた人間の説明はわかりづらい)
- 誰かに引いた目線で見てもらう、素人に取材するなどわからない状態を知る努力
- わからない人とよくわかっている自分の間を取り持つ人間を立てる)
- この視点で、自分が話すこと・書くこと・していることに標題をつける
1つ前のプロセスを共有
- 読み手からアイデアや意見を引き出したいなら、そもそも何が問題なのかを共有
- Ex.)今年の話をするなら去年のこと、来期の戦略にはいるなら今期の戦略
読む気を引き出す書き方
- 日々の生活において動機がないものは読めない
- ×文章を全部読んで内容判断 ◯ぱっと見で読むか読まないか判断
コミュニケーションの最初で相手の「読みたい」という気持ちを引き出しておく
タイトル・リード文など本文に入る以前のところで
読み手にとってその文章を読むとどんないいことがあるか、効能を端的に示す
- こういうシーンで役に立つ、こんな知識や技が身につく、わからなかったことがわかるようになる
- ×遠い未来の中傷 ◯今すぐ具体的にどう役立つか
相手にとって切実・身近な話題とリンクさせる
書こうとすることとの接点を考え次第に自分が書きたいことに話をもっていく
タイムリーな話題とリンク
世の中の話題が集中している事件・出来事と自分がこれから書くことの接点を考え
面白そうな独特の世界を醸す
- 心や感性に働きかけるものはコミュニケーションスピードが高い
- 書き出しを読んだだけで心にふれる文章は、効能を並べずとも読み手は引き込まれる
「〜しないと……できなくなる」はNG
- Ex.)「これを読まないと話題についていけなくなる」
- 読み手の義務感や焦燥感を駆り立てるだけ
- 読み手のプラスの動機を引き出そうとすることが望ましい
思考停止ポイントの発見
-
今自分が信頼している存在は? その人の言うことを咀嚼せずに広めていないか?
-
自分が優れていて他人が劣ると思うのはどんなとき?
-
最近人に何かを強く勧めた?
-
会議や会話で自分が連発する言葉はあるか?
-
自分の発言の中で「絶対」をつけるものは何か?
-
自分のモットーは何か?
自分の頭でものを考える=常に揺らぎ続ける
- 自分の内面、まわりの人間・状況に応じて、その時できる限りのベストな判断をしようとする
- その苦痛に耐えかねて思考停止するポイントがある
- Ex.)トップのスローガン、「○○(カリスマ性のある人)さんのおっしゃる通り……」、自身の正義・価値観
自分の多用する言葉(=そこで思考が止まる)を禁止してみる
- Ex.)「素晴らしい」「すごい」
- 使えないぶん、これをどう表現しよう、と考えるきっかけになる
誤解を防ぐ
- 自分の定義をことわっておく、最初から平たい自分の言葉に言い換える
- Ex.)「リアリティ、ここで私は……ほどの意味で使いますが」
構造の存在を意識
- 部分的な問題を切り出す前に、全体的な相手に対する日ごろの想いを前面に出す
- Ex.)「いつもありがとうございます、些末なことですがここに問題が……」