ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト 伊藤羊一のベストセラー『1分で話せ』の内容239ページぶんを、1時間かけて要約した。60回話すシミュレーションができる時間を溶かしたわけだ。伊藤氏にはぜひ責任をとってほしい。
正直、ビジネス書なんて買って読むのは面倒だろう。私もそうだし、皆さんもそうだと信じている。「令和のものぐさ太郎」である私は、ビジネス書を読むときいつも『flier』を利用している。
しかし、この度ひょんなことから『1分で話せ』を無料で入手したので、せっかくなら共有しようと。アウトプットによる定着を兼ねて。
ちなみに、「いつも」と言ったがビジネス書なんて滅多に読まないし、この記事を読んだところでエバンジェリストが何かは一切わからないのでご容赦いただきたい。
- ①伝えるために考えておくべきこと
- ②左脳が理解するロジックを作る
- ③集中して聞いてもらうための「スッキリ・カンタン」
- ④右脳を刺激し、1分でその気になるよう想像させる
- ⑤1分で動いてもらう
- ⑥「伝え方」のパターンを知る
- ⑦シチュエーション別の実践
- 感想
①伝えるために考えておくべきこと
「人はあなたの話の80%は聞いていない」前提を把握
1分でまとまらない話は何時間かけて話しても結局伝わらないからこそ、1分で話せるように話を組み立てて伝える
「何のためにプレゼンするのか」の言語化
「誰に、何を、どうしてもらいたい」で特に意識すべきは「誰に」
- どういう立場にいるのか
- どんなことに興味があるのか
- どんなことをこのプレゼンに求めているのか
- 専門的な要素についてどのくらい理解できるか
- 何をどんな風にいうとネガティブな反応をするのか
ゴールは何か(理解してもらう、はゴールにならない)
聞き手をどういう状態に持っていくか、どこをプレゼンのゴールとするのかを言語化する
- 聞き手が賛成にせよ反対にせよ、何らかの意見を表明してくれればいいのか
- 聞き手が賛成してくれたらいいのか
- 聞き手に動いてもらう必要があるのか
結局、動かしてなんぼ
「きれいに話す」のは目的ではない
②左脳が理解するロジックを作る
ロジカルな1分ストーリーを考える
ピラミッドによる主張と結論の整理
- 「これが結論です」
- 「理由はAでBでCだからです」
考える=結論を導き出す
事実やデータは結論ではない。自分の内外にあるデータを加工しながら結論を導き出す
- 情報:「眠い」
- 知識:カフェインは眠気が取れる
- 行動:コーヒーを飲む
「悩む」と「考える」の区別
機械的に「考える」=結論を出す習慣を作るために自分に問う
- 「だから何?」
- 「本当か?」
- 「ファイナルアンサー?」
根拠は3つにとどめる
相手の頭の中に自分が伝えたいことの枠組みを移植する
- 「私の主張はこうです」(例:「田中さんと仕事がしたい」)
- 「理由は3点です。1点目はこう、2点目はこう、3点目はこう」(例:方針がわかりやすい、私たちを守ってくれる、お茶目で楽しい)
意味がつながっていれば「ロジカル」
ロジックを隠さない、「だから」「である」で確認
- 「この会社が好きです。業績がいいから」ではなく「給料が高いから」
- 意味が通じるかどうかは聞き手が決めること
- 「基本的には」「先に述べたように」「の観点で」「を念頭に」は不要
- カタカナや漢字をひらがなの日本語に
4つの無駄を省く
- 頑張ったことを認めてもらいたくても「プロセス」を話さない
- 気を遣い過ぎるな
- 自分の意見と違うことは言わない。最後に懸念点を対応策とともに
- 笑いを入れない、ビジネスで「おもしろい」のはロジック
前提共有
話が通じないときはお互いの前提が異なる場合があるので、前提を3つの観点から整理する
- こんな事例において
- 今の時代において
- このコミュニティで
③集中して聞いてもらうための「スッキリ・カンタン」
突飛な行動をしても振り向いてもらえるのは一瞬
必要なのは、プレゼンしている間ずっと集中力を向け続けてもらうこと
「使う文字・言葉を少なく」「文章をややこしくしない」
- プレゼンで話す言葉は「短く、言いきる」
- 自信がない/熱量があるとき、多くの言葉を使うがそれはノイズになる
- 中学生が理解できるレベルの言葉しか使わない
スライドのコツ
- スライドは基本的にグラフ
- 状況を「位置に込める」、左から右への流れ
- 「読まずに頭に入る」ことを目指す
- プレゼンに使う部屋の最後尾から見て、「読まずにすっと」言葉が入るか
④右脳を刺激し、1分でその気になるよう想像させる
正しいだけで人は動かない、頭の中に生まれたイメージが心を動かす
自分に当てはめて考えてもらうには?
- 聞き手の頭にイメージを描いてもらう
- 聞き手にイメージに入ってきてもらう
イメージを描いてもらうために行う2つのこと
- ビジュアルを見せる
- 短くするために抽象化し、伝わらない部分を「例えば」で導く
ピラミッドを3段に
「結論→根拠→例えば」の3段、意味が通じない場合入れ替える
「想像してみてください」
聞き手に、イメージの中に入り込んできてもらえば、あとは自分の記憶にある要素から勝手に想像してくれる
「吉野家が好き」と言うために
- 「吉野家が好きです」
- 「まず、早い。座ったかどうかのタイミングで、店員が牛丼を出してくれる」
- 「次に、安い。今時どこで食べてもたいてい500円はかかるのに」
- 「最後に、うまい。想像してみてください。お腹が空いた時に牛丼をかきこんだことを」
- 「だから、僕は吉野家が好きです」
⑤1分で動いてもらう
「超一言」で包み込む
「喜ぶ」と「ずっと覚えている」は別の話
- 自分の伝えたいことを一言のキーワードで表す
- 覚えやすく、その一言で、プレゼン全体を表現するようなキーワード
プレゼンもアーティストと同じ
自分の伝えたいメッセージをストーリーやメッセージに合わせて演じる
聞いている人の中に入っていく
距離が近づいた方が、聞き手は親近感が湧く
人前で話す4つのポイント
- 視線:しっかり聞き手を見る
- 手振り:動きは多少、大きいとそちらばかりきになる
- 声:「相手と対話するように」届ける
- 間合い:話の区切りで、普段より3秒長く間をとってみる
「リトルホンダ」を作る
いかに相手の立場に立って話すか
- 「話している自分と相手を俯瞰で見る」
- プレゼン前に「相手の席」に座り、自分の話す姿を想像
- メタ認知による自己修正を繰り返す
根回しやアフターフォローも必要ならやる
カッコつける必要は一切ない。できることはなんでもやる
- 「今度の会議で私はこんな話をしようと考えています」
- 「詳細を改めてご説明したく……」
⑥「伝え方」のパターンを知る
SDS・PREP・PCSFの利用
- SDS:Summary、Detail(ここでピラミッド)、Summary
- PREP:Point、Reason、Example、Point
- PCSF:Problem、Change、Solution、Future(新しい取り組みの説明に)
伝えたい言葉はある?
相手をゴールに向かわせたくても、人間は変化を嫌がる性質がある
- これから伝えようとしていることは自分が一番詳しい
- 自分はそのコンテンツに一番自信を持っている、一番好きだ
⑦シチュエーション別の実践
会議
とっさに意見を求められて頭が真っ白になる
- 相手が何を質問しているのか見つける(Yes/No?アイデア?懸念点?)
- すぐにどう答えるか考えず、まずは把握
- ポジションをとる(結論を出す)ことで、根拠を探せる、議論ができる
- 配慮はしても、遠慮はするな
プレゼン
自分の話を聞いてくれているような気がしない
- 声を大きくするだけで70%解決する
- 言葉にイメージを持つことで、トーンは自然に変わる
- ロジカルだけでは伝えられない、目の前の相手に声を届ける意識
- 観客に近寄ることで、「私たち」の意識を作れる
上司への提案
プレゼンではなく、「対話」を意識
- 相手のピラミッドを頭の中で描き上司と自分のピラミッドをすり合わせる
- ピラミッドを取ることで主導権を握る
- 目上の人に対しても「私たちは」を使い、一緒に作る意識を忘れない
意見が合わないときは共有できるポイントまで遡る
- 課題を異なるサイズ感で捉えていないか
- ゴールまでの時間感覚が異ならないか
- ゴールに向かう道のりが違わないか
- 上司と自分の立場の違いの理解
商談
提案よりも「問題解決」で信頼を作る
- 自分たちのエゴを捨て、相手の課題に向き合い「役に立つ」を追求
- 信頼を築くことで、それがビジネスへとつながっていく
ファシリテーション
広げて絞る流れを意識
- ゴールを決める、その会議で何が決まればいいかの線引き
- 主張と根拠のピラミッドを会議で作り上げる
- 前半はなんでも意見を出してもらい、全て肯定
- 結論は誘導せず、後半は「いいな」と思った意見に食いつく
事前にやっておくべきこと
- 事前に考えてもらうことを参加者に提示
- 何を共有してもらうか考え、場合によっては担当者に提示しておく
- 軸にはどんなものが入りそうか考えておく
- どんな議論が行われるかイメージしておく
- 収集がつかなくなった場合の介入方法を考えておく
感想
自分のための要約となってしまった。あまりにも当然過ぎる内容は削っている。
言われたら当たり前だが、言われないと意識できない……話のイロハに気づかせてくれる良書だった。ただ、「メタ認知による自己修正」の話があったが、私はメタ認知が引くほど下手であると自覚済みだ。今後、伊藤氏には『1分でメタ認知』を出版してほしい。出版社はダイヤモンド社あたりがいいだろう。
ちなみに、エバンジェリストとは、IT業界で近年注目を集めている新しい職種、もしくはその役割を担っている専門的な人材らしい。つまり何なのだろう。世の中には1分でわからないことが山ほどある。
面倒だから要約を読んだのにもっと長い文章を読みたいという気紛れガールや、要約を見たうえで「もっとマシな文読ませろや」と思ったならず者は、天下のエバンジェリスト伊藤氏のオリジナルを読むと良い。
エバンジェリストではない私には、エバンジェリスト以上の文は書けないのだから。