「鯛焼きひとつ、鯛抜きで」

クリープハイプとPublic Relationsが好きな、webライターの雑記

切腹

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腹くくり三太夫

言葉を紡ぐことを生業にしたいと言ってはや数日。ついに腹を決めた。二段腹をさすりながらお送りします。簡単に言うと、就活続行を決意したよ、って話なんですけどね。

でもこの決断って、ここ数ヶ月の私を全否定することになる。文字を使って心を動かしたい私が、範囲を広げるために「心を動かす」だけにフォーカスして就職活動をしていた自分の中で、「なんか違う」が膨れ上がりすぎて、無理になった。

 

ここ数ヶ月を否定してでも、21年余を否定したくなかった。聞こえがいいですが、要するに振り出しに戻るってだけで。何やってるんだろう。

喉がバッサバサ。今日はハイになって叫びすぎた。別に何があったというわけでもなく、ただ少し、すっきりしたかった。

後輩たちを見ると、眩しくて辛くなる。日光を浴びて灰になるドラキュラの気分。大学生が下級生に対して「いや〜若いな〜笑笑」みたいなことを言うと、一部は「数年先に生まれた風情が何いっとんねん」と思うだろうが、実際彼らには自分にはない可能性がたくさんある。学生という立場を利用してできることが、山ほどある。

なにもしてこなかった自分を悔いても何にもならないが、悲しいというか悔しいというか、うん。無力感とはまさにこのことなんだと思う。

子供の頃の全能感から卒業したときから、自他をきちんと見ることができる、的なことをフロムが言っていた気がする。言っていないかもしれない。

 

では自分は?

全能感はなかったが、「なんとかなるだろう」感があった。ずっとあった。今もある。それが甘えだった。その結果、なんとかなっていないのだ。ギャグかよ。親愛なる馬鹿どもへ、じゃねえわ。親愛ならねえし、馬鹿は自分1人。ちゃんちゃん。

 

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飲みきれない日本酒

週8で酒を飲んでいる私には、どうしても飲みきれない日本酒がある。憧れの先輩からいただいた日本酒だ。

サークルの先輩。ひとつ上の幹事長。この人を超えたくて、背中を追い続けていたけど、追いつけないまま、あの人は卒業した。

 

「リーダーの俺が、ジャイアンにならないといけない」 

そう言っていたあの人は、とても不器用だったから、下級生から少し怖がられていた。私も怖かった。1,2年生の頃、一言も話さなかった。話せなかった。怖くて。でも、その頃から憧れていた。あの人は、2年生の頃サークル内のいち組織を運営していた。引退の日、あの人は泣いた。膝から崩れ落ちた。

かっこよかった。ふだん多くを語らず、そのとき初めて胸に秘めていたものが溢れ出した姿を見て、私は決めた。私もこの組織に関わりたい、と。憧れのあの人が引退する日、私は泣いた。後は任せてください、と言った気がする。どの口が言うか。少なくとも、今の私はあの人に合わせる顔がない。会いたいけど。

ええかっこしいの私は、ジャイアンになれないまま、大学生活を終えようとしている。だけど、これからの自分に対しては、ジャイアンにならなきゃいけないんじゃないかな、などと。KANA-BOONの『シルエット』を聴きながら思うわけです。幻影を追い続けている自分にはぴったりなので。

 

覚えてないこともたくさんあったけど
きっとずっと変わらないものがあることを
教えてくれたあなたは消えぬ消えぬシルエット

(『シルエット』KANA-BOON

 

あの人を超えた。そう思えたとき、自分はこれを飲み干そうと思っている。

私の嫌いな薄緑の瓶。結露でラベルは崩れかけている。底にほんの少しだけ、あるかないかわからないくらいのお酒が残っている。