「鯛焼きひとつ、鯛抜きで」

クリープハイプとPublic Relationsが好きな、webライターの雑記

ブンブンハローYouTube

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喪失

KANA-BOON飯田祐馬が失踪したわけだが、かくいう私はといえば、雨の中を疾走している。「夏の夜に聴きたくなる曲」が好きなのだが、基本的にそういう曲は聴いているとこの世から消えてしまいたくなる。

そんな精神状態になったときは夏の朝に聴きたくなる曲を聴いてごまかすわけだが、KANA-BOONにはだいぶお世話になっている。

季節関係なく『涙』『眠れぬ森の君のために』あたりはよく聴くが、夏になると聴きたくなるのは『夏蝉の音』だ。

 

いつのまにか時が過ぎて
いつのまにか僕を忘れ
思い出になるのかな
そんなことを言うと君は
笑いながら泣いていたな
短い夜のこと

夏蝉の音、ゆれる心
鼓膜の奥、溶けだす青
巻き戻る、二人の過去から
溢れ返る光の粒
(『夏蝉の音』KANA-BOON

 

なぜか昔から失恋ソングが好きだ。ノスタルジックな「俗」の気配に、憧憬が垣間見えるあの感じ。そういう曲には、きまってうだるような暑さや生ぬるい夜の空気がよく似合うのだが、KANA-BOONはその声質と弾むようなメロディーラインゆえに、世俗的になり過ぎない。ポップなイメージを残しつつ、エモい気分を演出してくれるのだ。

その特性ゆえに、「春」を感じさせる別れの歌とKANA-BOONの相性はとてもいい。「出会いの春」と言われることが多い中で、「別れの春」に向き合った曲は大体名曲。センチになりすぎない、でもポップなだけでは終わらせず、聴いた人が必ず過去の何かを思い出してしまう。『さくらのうた』と『桜の詩』は最高だ。

 

あれからどれほど月日が経ったろう
二人並んで見た桜の花が舞って
遠く遠く飛んでゆく、思わず追いかけてしまう
国道沿いを走って
あなたの声を思い出してしまう

(『桜の詩』KANA-BOON

 

ここまで書いてきて、私が「KANA-BOON大好きおじさん」の位置を確立しつつあるような気がしてきたが、私が一番好きなバンドはクリープハイプである。そこは間違えてはならない。りっきー検定4級のテキストで赤文字になるレベルだ。

ちなみに、私が世界で一番好きな曲は、クリープハイプの『おやすみ泣き声、さよなら歌姫』だ。今のところ更新される予定はない。あれは別に季節を限定していないが、木材の匂いに満ちた、あまり冷房が効いていない、でも人が少ないせいでそこまで暑くもない夏のライブハウスが情景としてすぐ浮かぶ。MVに引っ張られている気もするが、あれも季節は感じさせないから、そんなことはないと信じたい。

 

尾崎世界観の声質は「エモーショナルな慟哭」にぴったりだ。叫んだ時、彼の声は鼓膜を引っ掻き、耳に残る。蜂の毒針のように針に返しがついており、なかなか抜けない。13歳の私に刺さった針は、今も柔らかい部分から抜けやしない。

 

いつか、『グレーマンのせいにする』の美しさについても語りたい。

 

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殺されるぶんには

死にたくはない。それだけは確かだ。

でも、この感情を因数分解してみると、「能動的に命を絶つ」勇気がないだけで、「死」という状態に対しての感情とは微妙に違う(気がしている)。

だから、逆にもし命を奪われるとなったら、自分はある意味安心するのかもしれない。努力してこなかった自分の人生に、言い訳ができる気がするから。死んでしまったからこんな道半ばでも仕方ない、と。そもそも歩き出していないくせに、言い訳ばかりを探して地面を這いずり回っている。

 

おっと、夜特有の自己嫌悪タイムが訪れたので、私はそろそろ寝ようと思う。飯田が戻ってきたことを祝って、明日は火鍋を食べに行く。

今夜はストロベリームーン。月は全く赤くなかったが、やけに明るかった。綺麗ですね、と言うにはあまりにも気味の悪い明るさ。