カッコつけたくてつい
言ったことないけど言ってみたい花の名前ナンバーワンは……沈丁花です!おめでとうございます!
霜降り明星のANN0「ピリオドチャンピオン」的な感覚でカミングアウトしたが、 沈丁花という文字の並びが好きだ。しかし私は沈丁花について何も知らない。あの日見ていない花の名前を僕たちはまだ知らない。そりゃそうだ。じんたんも大欠伸しながら仁丹で目を覚ますことだろう。ここは「じんたんも〜」以降無理やりすぎるが、うまいことを言おうとした結果がこれでは世話がない。
そこで、調べることにした。沈丁花を。「沈丁花知ってますよ?どや?」と言いたいがために。ちなみに、トップ画像の花は沈丁花ではない。
……沈丁花(ジンチョウゲ)だった。沈丁花(チンチョウゲ、略してチンゲ)だと思っていた。久しぶりにスマホを二度見した。驚きを共有したくて、ついカッコつけて説明してしまった。
ハナから鼻が悪い
沈丁花は、梔子、金木犀と合わせて三大香木とされているそうだ。しかし沈丁花の香りを知らない。どんな香りなのだろう。字面的に、丸みのある落ち着いた香り?
そもそも、みんなはどうやって花の香りを覚えているんだろう。花と香り、本当に一致してる?みんな。ラベンダーとローズくらいしか自信ないよあたしゃ。金木犀の香りだ〜、とかみんな言いたくて言ってるだけじゃない?
でも金木犀の香りってわかる。金木犀の香りを思い出そうとして鼻腔で再現はできないけど、金木犀ドーン!みたいなとき、たしかに「金木犀じゃんうけぴ〜」と自分の中のいとやんごとなきJKが目をさます。
人の記憶に残りやすいのは匂い、などとカッコつける奴は多いが、人を思い出してその後匂いを思い出すのはなかなかどうして難しい。むしろ、鼻で匂いに触れてから一気に記憶が蘇るケースの方が多く、トリガー的側面がデカい。フワーッ。あ、今の○○の匂いだ。これは多くの人が経験している気がする。
しかも、匂いで思い出したものって大概過大評価する。ラベンダーの香りを嗅げば、鮮やかな白藤色(植物の色を別の植物で喩えるとはどんな神経をしているんだ)が想起される。火薬の臭いで思い出した吹き出し花火は、その眩さで暗闇に切れ込みを入れている。花だって、花火だって、思い出だって、本物はそんなに綺麗じゃないのに。
カレーの匂いで思い浮かべるのも、めっちゃうまいカレー。実物より美味いものを想像しがち。いや、カレーは美味い。不味いカレーなど存在しない。すまん。カレーの神様ごめんなさい。ガネーシャあたりに謝罪文を送ればいいのだろうか。
生まれつき鼻炎持ちであまり嗅覚は優れていないはずなのだが、なんだかんだ嗅覚に保存されたデータは多い。
さて、最後の最後で聴覚の話になるのだが、ミスチルの桜井和寿は最も伝えたいことを二番のサビに持ってくるそうだ。私と似ているかもしれない。
どうしてラストにこの話を持ってきたのか。解釈は任せるが、タバコの臭いに顔をしかめながら、アダルトチルドレンは今日も文を綴っている。
※私は平野啓一郎をリスペクトしているわけではないので、自分は一人だという認識のもと、「うまいこと」を言うためにチルドレンと表現した。
またカッコつけちゃった。さっきと違って、今度はカギカッコ。